しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Leica M3: Walking in Tokyo is Addictive.

Leica M3 Double Stroke + Elmarit 90mmF2.8 + ProviaF 100 東京は秋。東京の秋、といえば、谷根千、である。ポジフィルムを装填したダブルストロークのM3に、久しぶりに90ミリのエルマリートをつけてみた。いつだったか、新宿のL社の委託品を購入したもので…

Leica M6: The World according to Platon

いつだったか、近所のお寺で撮った写真。なぜこんなに樹の写真ばかり撮ったのか、その理由は不明です。 樹木1 樹木2 樹木3 いいかね、善きクリトンよ、言葉を正しく使わないということはそれ自体として誤謬であるばかりでなくて、魂になにか害悪を及ぼす…

Ricoh GR3x: 台東区あたり

Ueno, Tokyo ここのところ、フィルムの現像代などに散財してしまっているので、今日はお小遣い節約のため、GR3xを持ち出しました。 Ueno, Tokyo オートフォーカス、プログラムオートで撮っていると、本当になにも考えることがなくて、楽である。ちょっと楽す…

Fujifilm X-T4:師匠と弟子の問答から学んだこと。

Fujifilm X-T4 + XF90mmF2.0 + Classic Chrome 「・・・しかし、僕がなにを言っているのか、君にもっと明瞭に話してあげよう。君はまだよく理解していない、と思われるから」 すると、ケベスは言いました。「ええ、ゼウスにかけて、あまりよく解りません。」…

Fujifilm X-T4: 奥渋逍遙

「それゆえ哲学は『どんなものが存在するか』に関しては確信の度合いを減らしてしまうが、『どんなものが存在しうるか』に関する知識を著しく増大させる。開放的な懐疑の国に旅したことがない人から尊大な独善性を取り除き、見慣れたものにも見慣れない側面…

Leica M4-2: Ginza, 銀座

Leica M4-2 + Summicron 50mm + Tri-X 久しぶりにM4-2にTri-Xを装填して、夜の銀座に繰り出したわけです。Tri-Xって、暗いところでも、よく写るのね。もう2,000円くらいするようになってしまったけど、更なるインフレに備え、10本ほど買い増ししておきました…

Olympus E-P5: "Theme for Ernie"

Olympus E-P5 + M.Zuiko 14-42mm EZ 1ドル=150えん! やったぜ平成バブルの再来だ、なんとなく嬉しくなってくるっていったら、円安で苦しんでいる方達に申し訳ないのですが、でも為替レートって変動するので、来年の春頃にはどうなっているかわからない…

復活!ライカM6

「そして、全体的に言って、およそ生成するすべてのものについて、すべてはこのように生成するのかどうかを見てみようではないか。すなわち、何か反対のものがある限りにおいては ー 例えば美が醜に反対であり、正が不正に反対であり、その他無数の者がその…

Olympus OM-2n:OM、再来。

「それは、どちらでもよいだろう。しかし、先ず、われわれはある出来事に襲われないように気をつけよう」とあの方は言われました。 「どんな出来事でしょうか」と私は訊ねました。 「言論嫌いにならないようにしよう、ということだ。ちょうど、ある人々が人…

The Times They Are A-Changin'

「そろそろ自分の力で泳ぎ出すがいい そうでないと、あんたも石ころのように流れのなかに沈んじまうだろう 何しろ時代が変わろうとしているんだから」(ボブ・ディラン) Leica M5 + Summicron 35mmF2.0 (2nd Gen.) + Kodak Ultramax 400 近所の写真屋さんで…

秋が来ました

Fujifilm X-E2 + XF18mmF2.0 芸術の秋。なぜ、秋は芸術なのか。秋になると急にみんなレオナルド・ダ・ヴィンチや、ミケランジェロ、ゲーテもしくはトルストイになるのか。 食欲の秋。夏や、冬には腹が減らないのか。冬にはすき焼きがうまい。夏にはそうめん…

Leica M:ときには星の下で眠る

「オートバイは、直線ののぼり坂にかかった。平野は、両手を空にむけて高くさしのべた。 空にむかってせりあがるように頂上に出た瞬間、青い空や透明な風が彼をオートバイごと空中にひきあげてくれるような、強烈な錯覚があった。」 (「ときには星の下で眠…

Leica IIIf : 言葉が美しくなるとき

Leia IIIf + Elmar 5cm 3.5cm (red dial) + Fujifilm Acros 100II 「言葉がりっぱになり、美しくなるのは、ぼくにはいやなことだ。」 (田中小実昌 「言葉の顔」ちくま文庫「田中小実昌ベスト・エッセイ」より 初出「ワインの涙はそら涙」1985年3月旺文社文…

Rollei 35と、「細雪」の世界

Rollei 35 + Tessar 40mmF3.5 + Provia 100F 「明くる日の朝は、先ず広沢の池のほとりにいって、水に枝をさしかけた一本の桜の樹のしたに、幸子、悦子、雪子、妙子という順に列んだ姿を、遍照寺山を背景に入れて貞之助がライカに収めた。」 (谷崎潤一郎「細…

リコーGR3x:人生の短さについて

「便利さは強敵だよ。きっとコロナのあと気付くんじゃない?億劫なことを省略しないのが大事だって。」 荒木経惟(カタリココ文庫「超二流の写真家」大竹照子 随想録所収の対話より) Ricoh GR3x 私が歪んでいるのではない、この世界が歪んでいるのである。 …

Canon New F-1: 無題にて

Canon New F-1 + New FD35mmF2.8 + Kodak Tri-X 「最も重大な業務に最も適している君の精神的な活力を、たとえ名誉はあっても、幸福な人生には何お役にも立たない役目から呼び戻すがよい。そして考えてみるがよい。君が若年のころから、学問研究のあらゆる修…

Nikon F: 私の隣にある異次元

Nikon F + Nikkor H Auto 50mmF1.8 + Kodak Tri-X 久しぶりのキャノンニューF-1を抱えて下高井戸の駅で京王線の電車を降りたのが午後1時前くらい。いや暑いのなんの。こんな暑さの中で歩き回っていたら、本当に熱中症で病院に担ぎ込まれそうです。というこ…

RICOH GRIIIx: 鎌倉アジサイ卍固め、そして錦糸町ブルース

RICOH GRIIIx なんとなく、頭がパンパンである…脳みその容量って、歳をとると減るのだろうか。一度にいろいろなことを考えるのがすっかり苦手な今日この頃である。なので、カメラを持ってどこに行けば良いのかもよくわからないし、考えられない。そのうち、…

Nikon F: 「夏の闇」再読

Nikon F + Nikkor H Auto 50mmF2.0 + Kodak Tri-X 50年前。まだ小学校に上がるか、上がらないか、そんな頃に2年足らずの間、過ごした小さな海街を訪れました。 地方都市といっても、いろいろだと思いますが、何も観光資源がないということになると、仕事がな…

Leica M6:つゆのあとさき

Leica M6 + Summicron 35mm 第二世代 + Kodak Portra160 今日はM6の中のコダックポートラを撮り切りました。久しぶりに日頃足を伸ばさないあたりに足を伸ばしてみると、いやはや、あちこちのお屋敷が取り壊されて更地になっていたり、日頃撮り慣れていた風景…

Ricoh GR3x: 正法眼蔵の覚書き

Ricoh GR3x 迷を大悟するは諸仏なり、悟に大迷なるは衆生なり。さらに悟上に得悟する漢あり、迷中又迷の漢あり (「正法眼蔵 現成公案の巻」(道元)より 思うに、デジタルカメラの写真は、生もの、である。すぐに刺身にして食べてしまわなければならない採…

Fujifilm X-E2:雨の三連休最終日

Fujifilm X-T4 * XF 16 - 80mm F4.0 今一つお天気にめぐまれなかった連休の前半三日間であった。競馬も負けたし、パッとしない日曜日の夜である。 さて、私の愛するデジタルカメラとして、今、2台ほど選ぶとすれば、それはリコーGR DIGITAL IIIと、Fujifilm …

Leica M3とエルマーで「記号論講義」を考える

「デジタル記号のシステムによって導入されるのは、じつは記号の合成によるシミュレーションという出来事です。」 (石田英敬「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン」ちくま学芸文庫 第11章 「ヴァーチャルについてのレッスン」より) Leica M3 Doubl…

Rollei 35se: 東京という「都市」の中心で

「この都市は表意文字である。文章(テクスト)はとだえることがない。」 (ロラン・バルト「表徴の帝国」中心ー都市 空虚の中心 より) Rollei 35SE + Sonnar 40mmF2.8 + Fujicolor 100 知り合いの方からこのローライ35SEをいただいた。皮のケースに包まれ…

Leica IIIf: 「純粋理性批判」

東京上空 ここのところLeica IIIfにズマロン35mmの組み合わせにはまっています。どちらも製造されてから70年くらい経っているのではないかと思うのだけど、シャープに、かつなんとも言えない「渋い」色合いで、よく写るのですよね。IIIfを使っているともうこ…

Leica IIIf: 逍遥、旗の台

「遠近法によって空間の広がりは距離と大きさの比率へと還元され、運動や時間は不動の中心点から視て計算可能な距離の関係として抽象化されます。」 (石田英敬 「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン 5〈ここ〉についてのレッスン」より ちくま学芸文…

Olympus Pen: 「コペルニクス的転回」

Olympus Pen D2 + Kodak Ultramax 400 「[われわれの]認識が対象に従うのでなく、むしろ対象の方がわれわれの認識に従わなければならない」(『純粋理性批判』、第二版序論) 石川文康. カント入門 (Japanese Edition) (p.66). Kindle 版. Olympus Pen F &…

Olympus Pen F & EE3:ハーフサイズカメラと、インフレ日本円

Olympus Pen EE3 物価高である。僕らの大切なメディアであるフィルムも高騰している。こうなっては、我々は我々を我々の知恵で、守るしかない。そこでオリンパスPENシリーズなのである。36枚撮りのフィルムで72枚撮れるということは、いわば、現在1ドル…

Olmpus OM-1n:安田南には、たぶんサントリーオールドが似合う件

Olympus OM-1n + Zuiko Auto T 100mm F2.0 + Fujifilm 100 2022年、というとほとんどSF小説か、なんだか悪い冗談のように聞こえるけれど、とにかく、2022年の3月の初めの日曜日の夜遅く、安田南を聴いている。今日は暖かかく、日差しに満ちた、日曜日だった…

Pentax SL & Olympus OM1n:1971年冬のニューヨーク

Pentax SL + Super Multi Coated TAKUMAR 55mm F1.8 + Tri-X 森山大道の「'71-NY」届きました。うーん、すばらしい・・・フォーカスも、解像度も、実はいらないのだ、ってことがよくわかりました。シャッターを押して、撮り続けることで、なにかが出来上がる…