しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Leica M6: The World according to Platon

いつだったか、近所のお寺で撮った写真。なぜこんなに樹の写真ばかり撮ったのか、その理由は不明です。

樹木1

樹木2

樹木3

いいかね、善きクリトンよ、言葉を正しく使わないということはそれ自体として誤謬であるばかりでなくて、魂になにか害悪を及ぼすのだ。

岩波文庫パイドンプラトン著 岩田靖夫訳)

Leica M6 + Summicron 35mm + Kodak Portra 160

日陰の露出はヤマ勘で測るのは難しい。油断するとすぐにアンダーになってしまいます。セコニックのツインメイト、落としてしまって調子が悪くなってしまったので、アプリの露出計に頼るしかありません。ツインメイト、修理にだそうかな。5年以上使ったので、新調するか・・でも勿体無いな。

プラトンなんて、読んだことなかったけど、この本は面白かった。死んだら果たして魂はどこに行くのか。魂は消えてなくなるのかそれとも不滅なのか。この問題を弟子たちとの会話、そして言葉(ロゴス)を唯一のよりどころにして、丁寧に解き明かしていくというお話。

人間って、死んだらどうなっちゃうのかな。子供の頃にある親族のお葬式に初めて立ち会ったのだけど、お葬式の後、火葬場に行って、遺体が焼かれるのを目の当たりにして、「あんなに激しい火の中に焼べられて、どんなに熱いことだろう!」と恐れ慄いたことがある。結論として「死んだ後は、生きている時と違い、熱いとか痛いという感覚は無くなるのだ」と「理解」したのだけど、これって正確には「理解」したわけではなくて「推定」しているだけなのですよね。だって、実際に死んだ人間に熱かったかどうか、聞いたことがないし、自分でも死んだことはないから、実際のところ死んだ後に感覚があるのかないのかは、不知である。

「なぜなら、死を恐れるということは、いいですか、諸君、知恵がないのにあると思っていることにほかならないのです。なぜなら、それは、知らないことを知っていると思うことだからです。なぜなら、死を知っている者はだれもいないからです。」

(中公クラシックスソクラテスの弁明」プラトン著 田中美知太郎、藤澤令夫訳 より)

なるほど。あの頃私はまだ5歳になったばかりだったはずだけど、すでに知恵がないのにあると思っていたと、こういうわけだったのですね。

「そ、そ、ソクラテスか、プラトンか〜、に、に、ニーチェか、プラトンか〜み〜んな悩んで大きくなった」って、野坂昭如が歌うコマーシャルがあったけど、あれだな。

違うか。

さて、東京は秋。魂がどっかにいってしまう前に、写真撮っとこう。