しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Minolta α7: Aged Positives

ポジフィルムを装填して、36フレームのうち半分ほど露光した後防湿庫の中で眠り続けていたミノルタα7。ふとしたきっかけでカメラを引っ張り出し、残りの半分を撮影して、フィルムを現像してみた。最初の方に撮ったフィルムに写っている人たちのほとんどがマスクをしていないことからすると、これはおそらく2019年の秋に撮影したもののようだ。

ミノルタα7はプラボディのコーティングが経年変化で溶けてしまうのか、表面がベトベトになってしまうのが奇妙な持病である。私のαはカメラ屋さんのお兄さんがアルコールで丁寧にフキフキしてくれたおかげで、つるりとした触感である。正直安っぽい感触だけど・・・しかし今世紀に入ってから製造されたカメラなので、中身(機関)はまだまだ健康だ。

このポジフィルム、カメラの中で過ごした時間の経過で、色バランスが狂ってしまている。で、あるにもかかわらず、なぜか本当の色彩よりもより本当の景色のように見えてしまうのは、一体なぜなのだろう。なんだかヴィンテージ感?があってありがたいような気がしてしまう。

「色転び」はデジタルで画像を撮影して、AdobeLightroomのプリセットを使えば、簡単にシミュレートできる。でも、このポジフィルムの「色転び」は、このフィルムだけが経験した時間、空気、我が家の屋内まで吹き込んでくる潮混じりの風、そのようなさまざまなものが作用して初めてできたものであって、かつ、同じものはできないのだろう。これは「偶然の産物」であって、シミュレートしたものではない。それに、そもそも、このような写真を撮った記憶がない。場所が北鎌倉であること、季節が秋であることはわかるのだけど・・・

ひとまず、時間がもたらした一つの偶然の産物、としか言いようのない映像が、ポジフィルムのうえに定着されていた。

Minolta α7 + Minolta AF Zoom 24-105mm + RDPIII