しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Leica M: 1979年、「エーゲ海に捧ぐ」

岡崎武志氏の「ここが私の東京」(ちくま文庫)を読了した。非常に色々なことを学ぶことのできた一冊であり、inspiringという点においては、近年読んだ本の中でも3本の指に入る。

文学者を中心に、漫画家、音楽家など地方出身者と東京という場所の関係性を考察する一冊。中でも、富岡多恵子(というよりも、池田満寿夫)の節を興味ぶかく読んだ。早朝、目が覚めたまま眠れぬままにこの節を読んだのだが、世に出る前の池田満寿夫富岡多恵子が暮らした下宿があったという西新宿の一角、旧名「十二社」に行ってみたくなり、早速行ってみたというわけである。

エーゲ海に捧ぐ」という作品は読んだことがなかったのだが、私が中学生だった頃に映画化されたこの作品が大変話題になったことはよく覚えている。1979年。不思議な年だ。私にとって記憶に残っている文化的出来事(例えばYMOのデビューとか、ジョン・レノン射殺事件とか)は全て1979年、ないしその前後に起こっているのだ。1979年は私にとってとても不思議な、象徴的な年なのである。

新宿駅南口から歩いて行って、2時間ほど不審者となって近辺の住宅地の路地の間を彷徨いたのち、大江戸線で新宿に戻り、いつもの「DUG」でジントニックハイボール新宿駅への帰り道に久しぶりに紀伊國屋に寄った理由は、「エーゲ海に捧ぐ」を買うためであったのだけど、なぜかそれをすっかりと忘れて、草野心平の詩集を探したが見つからず、やむなく?新潮文庫の「室生犀星詩集」を贖って帰宅した、というわけ。

はや3月。今夜は春の夜の暖かい雨が降っている。

Leica M Type240 + Voigtlander Nocton Classic 35mmF1.4 II

ちょうど、和歌山市池田満寿夫の作品の展覧会をやっているらしい。行ってみようかな。