しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

秋が来ました

Fujifilm X-E2 + XF18mmF2.0 芸術の秋。なぜ、秋は芸術なのか。秋になると急にみんなレオナルド・ダ・ヴィンチや、ミケランジェロ、ゲーテもしくはトルストイになるのか。 食欲の秋。夏や、冬には腹が減らないのか。冬にはすき焼きがうまい。夏にはそうめん…

Leica M:ときには星の下で眠る

「オートバイは、直線ののぼり坂にかかった。平野は、両手を空にむけて高くさしのべた。 空にむかってせりあがるように頂上に出た瞬間、青い空や透明な風が彼をオートバイごと空中にひきあげてくれるような、強烈な錯覚があった。」 (「ときには星の下で眠…

Leica IIIf : 言葉が美しくなるとき

Leia IIIf + Elmar 5cm 3.5cm (red dial) + Fujifilm Acros 100II 「言葉がりっぱになり、美しくなるのは、ぼくにはいやなことだ。」 (田中小実昌 「言葉の顔」ちくま文庫「田中小実昌ベスト・エッセイ」より 初出「ワインの涙はそら涙」1985年3月旺文社文…

Rollei 35と、「細雪」の世界

Rollei 35 + Tessar 40mmF3.5 + Provia 100F 「明くる日の朝は、先ず広沢の池のほとりにいって、水に枝をさしかけた一本の桜の樹のしたに、幸子、悦子、雪子、妙子という順に列んだ姿を、遍照寺山を背景に入れて貞之助がライカに収めた。」 (谷崎潤一郎「細…

リコーGR3x:人生の短さについて

「便利さは強敵だよ。きっとコロナのあと気付くんじゃない?億劫なことを省略しないのが大事だって。」 荒木経惟(カタリココ文庫「超二流の写真家」大竹照子 随想録所収の対話より) Ricoh GR3x 私が歪んでいるのではない、この世界が歪んでいるのである。 …

Canon New F-1: 無題にて

Canon New F-1 + New FD35mmF2.8 + Kodak Tri-X 「最も重大な業務に最も適している君の精神的な活力を、たとえ名誉はあっても、幸福な人生には何お役にも立たない役目から呼び戻すがよい。そして考えてみるがよい。君が若年のころから、学問研究のあらゆる修…

Nikon F: 私の隣にある異次元

Nikon F + Nikkor H Auto 50mmF1.8 + Kodak Tri-X 久しぶりのキャノンニューF-1を抱えて下高井戸の駅で京王線の電車を降りたのが午後1時前くらい。いや暑いのなんの。こんな暑さの中で歩き回っていたら、本当に熱中症で病院に担ぎ込まれそうです。というこ…

RICOH GRIIIx: 鎌倉アジサイ卍固め、そして錦糸町ブルース

RICOH GRIIIx なんとなく、頭がパンパンである…脳みその容量って、歳をとると減るのだろうか。一度にいろいろなことを考えるのがすっかり苦手な今日この頃である。なので、カメラを持ってどこに行けば良いのかもよくわからないし、考えられない。そのうち、…

Nikon F: 「夏の闇」再読

Nikon F + Nikkor H Auto 50mmF2.0 + Kodak Tri-X 50年前。まだ小学校に上がるか、上がらないか、そんな頃に2年足らずの間、過ごした小さな海街を訪れました。 地方都市といっても、いろいろだと思いますが、何も観光資源がないということになると、仕事がな…

Leica M6:つゆのあとさき

Leica M6 + Summicron 35mm 第二世代 + Kodak Portra160 今日はM6の中のコダックポートラを撮り切りました。久しぶりに日頃足を伸ばさないあたりに足を伸ばしてみると、いやはや、あちこちのお屋敷が取り壊されて更地になっていたり、日頃撮り慣れていた風景…

Ricoh GR3x: 正法眼蔵の覚書き

Ricoh GR3x 迷を大悟するは諸仏なり、悟に大迷なるは衆生なり。さらに悟上に得悟する漢あり、迷中又迷の漢あり (「正法眼蔵 現成公案の巻」(道元)より 思うに、デジタルカメラの写真は、生もの、である。すぐに刺身にして食べてしまわなければならない採…

Fujifilm X-E2:雨の三連休最終日

Fujifilm X-T4 * XF 16 - 80mm F4.0 今一つお天気にめぐまれなかった連休の前半三日間であった。競馬も負けたし、パッとしない日曜日の夜である。 さて、私の愛するデジタルカメラとして、今、2台ほど選ぶとすれば、それはリコーGR DIGITAL IIIと、Fujifilm …

Leica M3とエルマーで「記号論講義」を考える

「デジタル記号のシステムによって導入されるのは、じつは記号の合成によるシミュレーションという出来事です。」 (石田英敬「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン」ちくま学芸文庫 第11章 「ヴァーチャルについてのレッスン」より) Leica M3 Doubl…

Rollei 35se: 東京という「都市」の中心で

「この都市は表意文字である。文章(テクスト)はとだえることがない。」 (ロラン・バルト「表徴の帝国」中心ー都市 空虚の中心 より) Rollei 35SE + Sonnar 40mmF2.8 + Fujicolor 100 知り合いの方からこのローライ35SEをいただいた。皮のケースに包まれ…

Leica IIIf: 「純粋理性批判」

東京上空 ここのところLeica IIIfにズマロン35mmの組み合わせにはまっています。どちらも製造されてから70年くらい経っているのではないかと思うのだけど、シャープに、かつなんとも言えない「渋い」色合いで、よく写るのですよね。IIIfを使っているともうこ…

Leica IIIf: 逍遥、旗の台

「遠近法によって空間の広がりは距離と大きさの比率へと還元され、運動や時間は不動の中心点から視て計算可能な距離の関係として抽象化されます。」 (石田英敬 「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン 5〈ここ〉についてのレッスン」より ちくま学芸文…

Olympus Pen: 「コペルニクス的転回」

Olympus Pen D2 + Kodak Ultramax 400 「[われわれの]認識が対象に従うのでなく、むしろ対象の方がわれわれの認識に従わなければならない」(『純粋理性批判』、第二版序論) 石川文康. カント入門 (Japanese Edition) (p.66). Kindle 版. Olympus Pen F &…

Olympus Pen F & EE3:ハーフサイズカメラと、インフレ日本円

Olympus Pen EE3 物価高である。僕らの大切なメディアであるフィルムも高騰している。こうなっては、我々は我々を我々の知恵で、守るしかない。そこでオリンパスPENシリーズなのである。36枚撮りのフィルムで72枚撮れるということは、いわば、現在1ドル…

Olmpus OM-1n:安田南には、たぶんサントリーオールドが似合う件

Olympus OM-1n + Zuiko Auto T 100mm F2.0 + Fujifilm 100 2022年、というとほとんどSF小説か、なんだか悪い冗談のように聞こえるけれど、とにかく、2022年の3月の初めの日曜日の夜遅く、安田南を聴いている。今日は暖かかく、日差しに満ちた、日曜日だった…

Pentax SL & Olympus OM1n:1971年冬のニューヨーク

Pentax SL + Super Multi Coated TAKUMAR 55mm F1.8 + Tri-X 森山大道の「'71-NY」届きました。うーん、すばらしい・・・フォーカスも、解像度も、実はいらないのだ、ってことがよくわかりました。シャッターを押して、撮り続けることで、なにかが出来上がる…

Ricoh GX200: 天皇誕生日の短信

RICOH GX200 本日は、天皇誕生日である。朝起きて、本棚の端にあった森山大道の「犬の記憶」を引っ張り出して、パラパラとめくっていたところ、巻末に横尾忠則の解説があって、1971年に2人で1ヶ月ニューヨークに滞在したこと、その間森山大道が「一度に70…

GRD3とE-P5:新宿物語

「東京は、物語。東京は、写真なのだ。」 (荒木経惟「東京物語」平凡社 1989年4月29日発行 より) Ricoh GRD3: Shinjuku, Tokyo 今日は、2月の雨が降っています。 個人的には、一年のうちで、この2月の下旬ほど素敵な季節はないと思っています。学校は3学…

Fujifilm X-T4: How far is the Moon?

Fujifilm X-T4 + XF35mmF1.4 + Adobe LR 子供に「おひさま」の絵を描かせると、だいたい赤いクレヨンを選ぶのですが、よく考えてみたら、太陽って「赤く」ないですよね。緑色の信号を「青信号」って呼んでみたり、僕ら日本人の色彩感覚、というか、色彩と言…

70年代からの《message in a bottle》

Leica M Type 240 + Summilux 50mm + Adobe LR ここのところ、「東京」「パリ」そして「Nへの手紙」と、立て続けに巨匠森山大道の最近の写真集を衝動買いしてしまった。いつものごとく、なんでもすぐに影響されてしまう性格の私は、ついつい、自分のRAWデー…

Leica M: A Man of Weak Personality

Leica M + Summilux 50mm + Jpeg オーストラリア人との会議で「お前はどう思う?」と、とつぜん話をふられたのですが、みんなが何を話しあっていたのか英語がわからず全く話についていけてなかったので、いちかばちかで、「アイシンクソー」って答えてみまし…

ライカM11と、イワンが見た「悪魔」

Leica M + Summilux 50mm ASPH 「だから、もっぱら仕事上の義務とぼくの社会的な立場から、やむをえず、自分のなかのよい部分を押しつぶし、不潔な仕事をつづけるはめになったんです。僕の名誉はだれかがそっくりかっさらい、ぼくには不潔な分け前だけが残さ…

スメルジャコフ曰く:「賢い人とはちょっと話すだけでもおもしろい」

Leica M5 + Elmarit 28mm + Kodak Tri-X 「神さまがぼくの心に、兄さんにそう言うようにって、務めを課したんです。たとえ、この瞬間から、兄さんが永久にぼくを憎むことになろうとです・・・」(光文社「カラマーゾフの兄弟 4」第11篇 「兄イワン」より…

帰省、そして、ワールド・エンド

「ヴァルター・ベンヤミンはカメラが発明される前までの〈芸術〉は意識が支配する〈芸術〉であったが、カメラは〈芸術〉に無意識の領域を持ちこんだとし、それを評価した。私もそう考える。」 (「決闘写真論」篠山紀信・中平卓馬 発行日1977年9月20日第一刷…

Leica Up to Three.

Leica M3 + Elmar 50mm F2.8 + Provia 100F ウイスキーは2杯まで、と村上春樹氏はその著作「羊をめぐる冒険」の主人公である「僕」に言わせている。曰く、ウィスキーは2杯目が一番美味しい。「3杯目から先は味なんてない」ただ胃に流し込んでいるだけであ…

今日はデジ日和:フィルムα値= Pricelessの法則

ここ最近、フィルムの消費が進んでいません。半年ほど前にタイ米叩いてコダックのポートラ10本仕入れたのですが、未だにほとんど捌けてない。やはり一本1,500円を超えると、何かよほど面白いものやことがあるという予感がある日でなければ、カメラに装填する…