しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Ricoh GR3x: 正法眼蔵の覚書き

Ricoh GR3x 迷を大悟するは諸仏なり、悟に大迷なるは衆生なり。さらに悟上に得悟する漢あり、迷中又迷の漢あり (「正法眼蔵 現成公案の巻」(道元)より 思うに、デジタルカメラの写真は、生もの、である。すぐに刺身にして食べてしまわなければならない採…

Fujifilm X-E2:雨の三連休最終日

Fujifilm X-T4 * XF 16 - 80mm F4.0 今一つお天気にめぐまれなかった連休の前半三日間であった。競馬も負けたし、パッとしない日曜日の夜である。 さて、私の愛するデジタルカメラとして、今、2台ほど選ぶとすれば、それはリコーGR DIGITAL IIIと、Fujifilm …

Leica M3とエルマーで「記号論講義」を考える

「デジタル記号のシステムによって導入されるのは、じつは記号の合成によるシミュレーションという出来事です。」 (石田英敬「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン」ちくま学芸文庫 第11章 「ヴァーチャルについてのレッスン」より) Leica M3 Doubl…

Rollei 35se: 東京という「都市」の中心で

「この都市は表意文字である。文章(テクスト)はとだえることがない。」 (ロラン・バルト「表徴の帝国」中心ー都市 空虚の中心 より) Rollei 35SE + Sonnar 40mmF2.8 + Fujicolor 100 知り合いの方からこのローライ35SEをいただいた。皮のケースに包まれ…

Leica IIIf: 「純粋理性批判」

東京上空 ここのところLeica IIIfにズマロン35mmの組み合わせにはまっています。どちらも製造されてから70年くらい経っているのではないかと思うのだけど、シャープに、かつなんとも言えない「渋い」色合いで、よく写るのですよね。IIIfを使っているともうこ…

Leica IIIf: 逍遥、旗の台

「遠近法によって空間の広がりは距離と大きさの比率へと還元され、運動や時間は不動の中心点から視て計算可能な距離の関係として抽象化されます。」 (石田英敬 「記号論講義 日常生活批判のためのレッスン 5〈ここ〉についてのレッスン」より ちくま学芸文…

Olympus Pen: 「コペルニクス的転回」

Olympus Pen D2 + Kodak Ultramax 400 「[われわれの]認識が対象に従うのでなく、むしろ対象の方がわれわれの認識に従わなければならない」(『純粋理性批判』、第二版序論) 石川文康. カント入門 (Japanese Edition) (p.66). Kindle 版. Olympus Pen F &…

Olympus Pen F & EE3:ハーフサイズカメラと、インフレ日本円

Olympus Pen EE3 物価高である。僕らの大切なメディアであるフィルムも高騰している。こうなっては、我々は我々を我々の知恵で、守るしかない。そこでオリンパスPENシリーズなのである。36枚撮りのフィルムで72枚撮れるということは、いわば、現在1ドル…

Olmpus OM-1n:安田南には、たぶんサントリーオールドが似合う件

Olympus OM-1n + Zuiko Auto T 100mm F2.0 + Fujifilm 100 2022年、というとほとんどSF小説か、なんだか悪い冗談のように聞こえるけれど、とにかく、2022年の3月の初めの日曜日の夜遅く、安田南を聴いている。今日は暖かかく、日差しに満ちた、日曜日だった…

Pentax SL & Olympus OM1n:1971年冬のニューヨーク

Pentax SL + Super Multi Coated TAKUMAR 55mm F1.8 + Tri-X 森山大道の「'71-NY」届きました。うーん、すばらしい・・・フォーカスも、解像度も、実はいらないのだ、ってことがよくわかりました。シャッターを押して、撮り続けることで、なにかが出来上がる…

Ricoh GX200: 天皇誕生日の短信

RICOH GX200 本日は、天皇誕生日である。朝起きて、本棚の端にあった森山大道の「犬の記憶」を引っ張り出して、パラパラとめくっていたところ、巻末に横尾忠則の解説があって、1971年に2人で1ヶ月ニューヨークに滞在したこと、その間森山大道が「一度に70…

GRD3とE-P5:新宿物語

「東京は、物語。東京は、写真なのだ。」 (荒木経惟「東京物語」平凡社 1989年4月29日発行 より) Ricoh GRD3: Shinjuku, Tokyo 今日は、2月の雨が降っています。 個人的には、一年のうちで、この2月の下旬ほど素敵な季節はないと思っています。学校は3学…

Fujifilm X-T4: How far is the Moon?

Fujifilm X-T4 + XF35mmF1.4 + Adobe LR 子供に「おひさま」の絵を描かせると、だいたい赤いクレヨンを選ぶのですが、よく考えてみたら、太陽って「赤く」ないですよね。緑色の信号を「青信号」って呼んでみたり、僕ら日本人の色彩感覚、というか、色彩と言…

70年代からの《message in a bottle》

Leica M Type 240 + Summilux 50mm + Adobe LR ここのところ、「東京」「パリ」そして「Nへの手紙」と、立て続けに巨匠森山大道の最近の写真集を衝動買いしてしまった。いつものごとく、なんでもすぐに影響されてしまう性格の私は、ついつい、自分のRAWデー…

Leica M: A Man of Weak Personality

Leica M + Summilux 50mm + Jpeg オーストラリア人との会議で「お前はどう思う?」と、とつぜん話をふられたのですが、みんなが何を話しあっていたのか英語がわからず全く話についていけてなかったので、いちかばちかで、「アイシンクソー」って答えてみまし…

ライカM11と、イワンが見た「悪魔」

Leica M + Summilux 50mm ASPH 「だから、もっぱら仕事上の義務とぼくの社会的な立場から、やむをえず、自分のなかのよい部分を押しつぶし、不潔な仕事をつづけるはめになったんです。僕の名誉はだれかがそっくりかっさらい、ぼくには不潔な分け前だけが残さ…

スメルジャコフ曰く:「賢い人とはちょっと話すだけでもおもしろい」

Leica M5 + Elmarit 28mm + Kodak Tri-X 「神さまがぼくの心に、兄さんにそう言うようにって、務めを課したんです。たとえ、この瞬間から、兄さんが永久にぼくを憎むことになろうとです・・・」(光文社「カラマーゾフの兄弟 4」第11篇 「兄イワン」より…

帰省、そして、ワールド・エンド

「ヴァルター・ベンヤミンはカメラが発明される前までの〈芸術〉は意識が支配する〈芸術〉であったが、カメラは〈芸術〉に無意識の領域を持ちこんだとし、それを評価した。私もそう考える。」 (「決闘写真論」篠山紀信・中平卓馬 発行日1977年9月20日第一刷…

Leica Up to Three.

Leica M3 + Elmar 50mm F2.8 + Provia 100F ウイスキーは2杯まで、と村上春樹氏はその著作「羊をめぐる冒険」の主人公である「僕」に言わせている。曰く、ウィスキーは2杯目が一番美味しい。「3杯目から先は味なんてない」ただ胃に流し込んでいるだけであ…

今日はデジ日和:フィルムα値= Pricelessの法則

ここ最近、フィルムの消費が進んでいません。半年ほど前にタイ米叩いてコダックのポートラ10本仕入れたのですが、未だにほとんど捌けてない。やはり一本1,500円を超えると、何かよほど面白いものやことがあるという予感がある日でなければ、カメラに装填する…

「オレのNikon」 Fの時代

少し前にキムタクがニコンのイメージキャラで、「俺のニコン・・」って呟いて、カメラにチューってキスするCM動画があった様な気がしますが、さすがの私も、カメラにチューはしないのである。それはさておき、ニコン機は以前F2を持っていたのですが、なるほ…

僕のローライ絵日記

最近のお気に入りはこの古いペンタックスの一眼レフと「Maker's Mark」のバーボン。「Maker's Mark」は最近コンビニでも売ってるけど、700mlのボトルが2,000円足らずで、結構お求めやすいのですよね。開封するときに赤いロウ(ゴム?)引きのキャップカバー…

「サイモンとガーファンクル」

「サイモンとガーファンクル」って改めて文字で書いてみると、少々古めかしい気がする。「サイモン・アンド・ガーファンクル」の方がイマ風の耳あたりだ。イマ風といっても、彼らの歌がメーンテーマだった頃から数えてみると、かれこれ半世紀が過ぎ去ろうと…

Canon F-1:「昭和ノスタルジア」とは何か。

また悪い癖が出てしまいました。。 或る雨の土曜日に、久々にCanon F-1を持ち出したんです。このCanon旧F-1なぜ欲しくなったかというと、記憶喪失から復帰した後の中平卓馬がこれに100ミリのマクロレンズをつけて、シャッタースピード125分の1秒、絞り11半固…

Leica M3で「濹東綺譚」

カラーネガフィルムで撮影したゆるい感じの写真をアップロードするというのが、このブログの当初の設計図だったのですが、だんだん手持ちのカメラの自慢話のようなブログになってきてしまいましたし、写真もモノクロやスライドが入り乱れてしまい、まとまり…

Nikon F2と「濹東綺譚」

「その夜お雪さんは急に歯が痛くなって、今しがた窓際から引込んで寝たばかりのところだと言いながら蚊帳から這い出したが、座る場処がないので、わたしと並んで上框へ腰掛けた。 『いつもより晩いじゃないのさ。あんまり、待たせるもんじゃないよ。』 (引…

ライカ共同幻想論:その後、そして「写真への旅」

ポジフィルムの現像が上がってきました。この前に現像したエクタクロームはなんだか色合いが変だったけど、今回の2本は、賞味期限を3月ほど経過していたにもかかわらず、特に問題なく、すっきりと撮れていました。 2021年、夏 2005年、秋(「Coyote」No.9 Ja…

ライカ共同幻想論〜日暮里、千駄木、そして千石

Leica M5 + Elmarit 28mm (2nd.) + Kodak Ektachrome 令和3年7月某日。「日暮里駅」にて下車。カバンからライカM5を取り出した私は駐輪場の脇の休憩スペースにて28ミリのファインダーを取り付ける。このファインダープラスチック製なのだけど、足の部分が右…

「Leica M3の系譜学」

Leica M3 Double Stroke + Elmar 5cm F3.5 + Fujicolor 100 「たとえば民衆が雷をその雷光から分離して、雷光は雷という主体の行為であり、主体の作用であると考えるのと同じように、民衆の道徳もまた強さ〈そのもの〉と強さの〈現れ〉を分離して考える。あ…

ライカと「實朝」問題

4. M6TTLを買え。 おほ君の 勅を畏み ちゝわくに 心はわくとも 人にいはめやも 源實朝 「ちゝわくに」って、「乳湧く」っていうこと?(笑)って調べたら、「千々分に」つまり「さまざまに」っていう意味のようだ。王様の話を聞いてあれやこれやと想いがよぎ…