しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Pentax SP: S区逍遥、光と影、下高井戸「家宴」

 

Pentax SP + Super Multi Coated Takumar 28mm + JCH Streetpan 400

私の持っているペンタックスSPは、駅前の写真屋さんの放出品?を、確か5,000円ホドで譲ってもらったものだ。レンズはSuper Multi Coated Takumar 28ミリ。これも3,000円くらいだったかな?開放の明るさがF3.5なので、ファインダー覗くと、昼間でも暗い。こいつのファインダーでピントを合わせようとするのは諦めています。F1.8の55ミリをつけるとかなり明るくなってくるのですが・・

ということで、広角レンズで被写界深度が深いということもあり、昼間ならF8で3メートルに合わせておけば、無限遠までフォーカスゾーンに入るので、ファインダーはあくまでも構図確認のためだけのものと割り切って、これはこれで、Pen Sやローライ35と同様、point & shootカメラとして使えば良いというわけです。このレンズ、元々そういう使い方を前提にしているのか、レンズ鏡胴の絞りF8と距離3メートルの目盛がオレンジ色に塗られて「ここに合わせてシャッターを押してね!」と、撮影のコツをこっそりと教えてくれているのだ。

もらったも同然のようなカメラとレンズなので、たまに気が向いた時に使っていますという感じなのですが、現像してスキャンした白黒フィルムの画像を見ていると、どれもこれもなんだか、このペンタックスのタクマーレンズに共通する絵柄とでもいうのでしょうか、繊細・緻密・高解像というキーワードとは真逆の、ざっくり、ばっくり、ザラザラ、というか、なんというか、木炭デッサン?版画?的な仕上がりになっていることに最近気が付きました。

操作感はギギギ、ジジジ、ガシャ、パシャン、という感じで、「シルキーさ」とか「繊細さ」といった概念とは無縁です。でも、間違いなくフィルムが巻き上げられて、間違いなくシャッターが切れるという安心感がある。シャッターフィールも、押し下げた瞬間に迷わずシャッター幕が走る、という感じが伝わってきて、ライカのようなうっとりとする信仰心は抱かないけど、やるべきことはきっちりやってくれるという信頼感はあります。(それに、人の手の中でシャッタを切られた時に、被写体として耳にするシャッター音はとっても立派に聞こえるのです。)

これ、ライカの世界とは全く別のアナザーワールド、庶民カメラ、国民カメラとよばれた親しみやすさと勤勉さの見事なマリアージュ、下町工場の寡黙な職人、カメラの「蟹工船」というべきか、お酒で言えば、ボルドーの赤ではなくて甲類焼酎の緑茶割り、高級中華でなくて町中華、とにかく、ある意味ペンタックス独自の世界観、映像哲学があるということに気がつかされるという訳なのである。

今回現像からあがってきたやつなんか、なんだかそのままラフモノクロームの世界、写真屋さんがダイドー・モリヤマ風に仕上げてくれたのかな、と思いましたが、フィルムがJapan Camera HunterのStreetpan400というちょっと変わったフィルムだったのでした。なるほど、これはこれでなかなか面白いフィルムです。これ、「リピ」(笑)してもいいかも。

タクマーレンズにJCH StreetPanの組み合わせ、うん、これ、アタシ史上最高、もう絶対、リピ決定ですぅ。(※個人の感想です。)