ザ・昭和。昭和歌謡の世界。
「昭和」っぽい、と言われても、平成育ちの人にはなにが何やらわからないのである。「明治は遠くなりにけり」などと嘯かれても、「なんじゃそりゃ」という以上の感慨は持てなかった我々だから、それはヨックわかる。うん。
よくわからないのに、実体のない憧憬だけががひとりでに一人歩きするというのもいささか怖いものがあるのではないか。
でも私はいいのだ。「昭和」を知ってますから。このミノルタのレンズの写りは「昭和」である。これは、間違いない。でも、なんでだろ?
この「昭和」っぽさは、いったいどこからくるのか?
思うにそれは、「ミノルタ」だからである。ミノルタこそ、昭和の日本を代表するカメラ・メーカーなのだ、と言っても過言ではないであろう。だって、あのライカ様のOEM生産を委ねられた唯一の日本メーカーなのである。それだけではない。実用上差し障りのないオートフォーカス一眼カメラを最初に開発して市場にぶち上げたのも、CでもNでもなく、ミノルタだったのだ!その後で、アメリカ企業との訴訟に巻き込まれてえげつない金額の賠償金を取られちゃったけど、戦わずして「牛後」に落ちて結局和解金を払うならならば、「鶏口」にして戦って果てる方が、まさに昭和の日本男児を思わせる。そう、ミノルタこそ、カメラ界の姿三四郎だったのだ。
チミはそうは思わないか?(え、思わない? あ、そう。。)
実際のはなし、私が手元に持っている「アサヒカメラ」1975年(昭和50年)7月号増刊において、巻頭カラーグラビアで篠山紀信氏が使用しているカメラはCでもNでもない、ミノルタのXEなのである。
「腕前に自信のある方ほど、カメラ選びも慎重です。たとえばシャッター音ひとつにしても軽快で優しいものを。ボディはしっくりと手になじむものを。単に撮る道具としてではなく、創造力をかきたてるメカとして、じっくり使いこなしたい。そんなご要望におこたえ出来るのがミノルタXEです・・・」
(「アサヒカメラ」1975年7月号掲載の広告より)
いや、いいですね。この日本語。イメージ盛り盛りの動画広告もなし、SNSでのステマもなしの時代ですから、紙という平安時代?から変わらぬ人類のメディアに不動文字で印刷された言葉で勝負するしかないのだ。こうして書き写してみると、ひらかなと漢字の使い分けとか(例えば、「お応え」ではなく「おこたえ」であり、「できる」ではなく、「出来る」であるところ)、コピーライターの汗の塩味が口の中のひろがってきそうだ。ちょっと気持ち悪いけど、でも、生きるって、そういうことなんですよね。
生きるって、死ぬっていいうことと表裏一体、うらオモテ、なのだ。
チミはそうは思わないか?(え、思わない? あ、そう。。そうか、やっぱし)
カメラ(レンズ)もいいけど、フィルムがいいのかな。最近Tri-Xの高騰に根をあげてIlford Delta400を買うようになったんですが、日陰でもいい塩梅の露出で撮れる。
フィルムの値段高騰もこの辺りでひと段落してくれると良いのですが・・。そうでないと、オイラの財布が枯れすすきになりそうだ。
ガンバレ、日本円!