しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

記憶の引き出し

2年ほど「ばっくれて」いた健康診断の帰りに富士フィルムショールームに立ち寄ったら、北井一夫先生の「村へ」の写真展(といっても点数少なめでしたが)をやっていた。思わず「写真家の記憶の引き出し」という本を買って帰ってきてしまった。

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Ricoh GR1v + GR Lens 28mmF2.8 + Kodak ProImage100

「観光地や有名な人や風景を撮らない。美しいと感じる花は撮らない。多くの人たちから価値があると認められているものを撮らない。価値がないとされている、時代とともに忘れられ消えていく、普通の人たちの普通の生活とその場の風景だけを写真にするようにいつも心掛けていた」(北井一夫「写真家の記憶の引き出し」92頁)

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Ricoh GR1v + GR Lens 28mmF2.8 + Kodak ProImage100

なかなか北井先生のように達観することはできないので、きれいに咲いている桜とか、野良猫にレンズを向けてしまうわたしであった。。自転車のカゴの中に、もう1匹いるのだ。

木村伊兵衛から言われたこんな言葉も紹介されていた。

「写真を撮るときは、一番弱い人の立場に立て。」

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Ricoh GR1v + GR Lens 28mmF2.8 + Kodak ProImage100

東京周遊も2年前の6月に、西大井から始めて、概ね1週半で現在足立区を西から東に横断中。ルールとしては、バス、電車、タクシーは使わず、徒歩。日が暮れる前に家にたどり着く程度で止める。そして、前の回で辿り着いたところから、歩き始める。そう決めておくと、週末にどこに写真を撮りにいくか、あれこれ考えなくてよいのがよい。「桜がきれいに咲いていそうだから、千鳥ヶ淵のあたりに行こう」と考えてしまうと、もうそこで、どんな写真を撮るか、決まってしまうような気がする。

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Ricoh GR1v + GR Lens 28mmF2.8 + Kodak ProImage100

ふと通りかかった、名前も知らない稲荷神社の桜が、風に散っていく。境内には他に誰もいない。誰もこの瞬間を見ていない。

それにしてもGRって小さいのによく写るのね。