物価高である。僕らの大切なメディアであるフィルムも高騰している。こうなっては、我々は我々を我々の知恵で、守るしかない。そこでオリンパスPENシリーズなのである。36枚撮りのフィルムで72枚撮れるということは、いわば、現在1ドルが115円なのだけれど、オリンパスPenにフィルムを装填するだけで、1ドル=60円という超円高的世界が現出することとなる。
よーし、じゃんじゃんシャッター押してみよう!僕らの合言葉は「量は質を凌駕する」なのだ!
子供の頃に読んだ少年ジャンプ連載の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で両さんが凧上げ大会に参加するっていう話があって、両さんが凧に「インフレ日本円!」って書いたら、凧がスルスルスル〜と空に舞い上がって行く、というギャグあったと思うんだけど。
当時小学生だったから、完全にはあのギャグの意味を理解してなかったのだろうけど、あれが70年代に日本を襲った「オイルショック」と、それに対する大衆の反応だったのかな。
オリンパスPENのハーフサイズのカメラって、モデルによるけど、目測だったり、絞りもシャッタスピードも調整のきかない「写るんです」仕様だったりで、相当割り切らないと、これで全ての撮影を済まそうと決断するのは、かなり勇気がいるんですけど、森山大道の「’71-NY」をじっくりと鑑賞すると、オリンパスPENにはオリンパスPENにしかない世界があるということに気がつくのです。
ライカで撮った写真とは全く異なる、そして他のどんなカメラにも撮れない写真が、オリンパスPENシリーズのカメラなら、撮れちゃうのだ。
しかし、今夜も安田南の「South.」を聴いているのだけど・・・これは・・なんというのだろう・・・すごく深いところまで「差し込んで」くる演奏だと思います・・・短い曲だけど、3曲目の「Good Life」が・・・特に差し込んできます。
昔むかし、FM東京の深夜ラジオ番組で「気まぐれ飛行船」というのがあって、私の世界観、特に音楽とか、そういうソフト面についての価値観は、概ねあの番組から得た情報で出来あがっているのだけど、あの、夜中にぼーっとした感じの片岡義男氏の「うん」と「あん」の間のようななんともいえない曖昧なあいづちと、それよりかちょっとハリのある安田南さんの声の組み合わせって、ああ、男と女の関係性の基本形って、こういう感じなのかな、と中学生なりに感じ取ったところがあったように思います。
「眠れ、わるい子たち」
番組の最後に安田南さんが言ってたな、そういえばたしかに。