しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Rolleicord V: さよなら、黒つぐみ

Rolleicord + Tessar 75mm + Fujicolor Pro160NS

ブローニーフィルムで撮ったフィルムをデジタイズしてもらうと、やはりフィルムサイズの物理的な大きさの違いのせいか、お店でスキャンしもらったデータでも、35ミリとは明らかに見応えの異なる画像が得られるのである。

ハーフサイズの粗い画像もそれはそれで味があるのだけど、ブローニーはまたブローニーの良さがあって、これで改めて色々なものコトをフィルムに焼き付けていくと楽しいのかも、とか、思ってしまう。

でも、ブローニーはローライコードを導入して以来、ずっと富士のPro160NSというカラーネガフィルムを使っていたのですが、1年ほど前にディスコンとなってしまい、その時に買い求めた10本が残っているのみ。今日、Amazonで検索したら、当時の2倍の値段で売れ残りがまだ売られていたので、不承不承ながら一つ買い求めてしまった。黒白フィルムに移行しようと思ってはいるのだけど(これも富士がいつまで販売を続けてくれるのか心許ないが)、こうしてカラーネガで撮った画像を見ていると、この「渋い」色合いでいろいろ撮っておきたい、という思いがあらためてしてくるわけで。

ところで突然ですが、黒いバルナックが欲しい。

DIIのブラックペイントを買うか買わまいか、これが今夜の私のお悩みである。バルナックはIIIfをもっておりまして、しかも川崎の某著名なショップでオーバーホールしてもらった傷一つない超ミントな一品。うん、もうこれ一台で私の人生はアガリ、としか言いようのないカメラなのですが、諸兄におかれましてもご承知のとおり、人間の欲には際限がないわけである。そう、人間の物欲の広さ深さは「宇宙」に匹敵するのです。

そういうわけで、昨日一気にイッテしまいそうになったのですが、そこをグッと堪えて新橋烏森口の夕方早い時間に下ネタでやたらと盛り上がっている若い人たちしかいない居酒屋でひとりでホッピーを飲みながら自らの物欲の玉をしゃぶりながらなだめながら一旦おうちに帰ってきたのです。

そもそも今年は断捨離の年、と決めて手持ちの使わないカメラを手放すというのが年頭における私の決意、だったのであり、実際ライカを含め数台のカメラを放出して参った私なのですが、なぜか急にハーフサイズカメラにハマってしまって、リコーオートハーフが2台に、さらにPen Sまで購入に及んでしまい、ここのところ買ったカメラの不具合確認のための撮影が忙しいったらない。特にハーフサイズカメラに通常の36枚撮りのフィルムを装填したひには、撮っても撮ってもまだ撮れるっていうことで、いや、それゆえにこそフィルム代が節約になると思ってハーフサイズのカメラを選んでるわけなんですが、「えーい、なんでこんなにいつまでたっても撮り切らんのや!」と買ったカメラが恨めしくなってきさえするという、本末転倒というか、これが開高健がよくいっている「玩物喪志」というやつなのか、一体なんなんでしょう、私。

神社の片隅で見つけたひっそりと咲いているこれは一種の桜なのでしょうか、小雨混じりの土曜日のお昼過ぎに撮ったのですが、イメージどおりに写真になりました。でも、このお花に出会うということはもう二度とないわけで。来年は来年でまた別のお花が咲くことになるわけですし、来年またこの神社のこの場所に私がくるのかというのかというのも、かなり不確定。

そう考えるとなんだかせつないですね、人生って。急にしんみりしちゃいますけど。

バルナックとか、ローライとか、古いカメラは曇りや雨の日の方がそれらしい写真が撮れるような気がするな。週末の雨もあながち悪くはない。そして、今年はブローニーで東京をひととおり、撮り直してみようかなって思っている次第です。

しかし、あのDIIブラックペイント、どうすっかな〜。どうする?どうする俺・・・どうする家康!?