北新宿を歩いていて、ふと見つけた「橋」。
橋、といっても、橋ではない。昔橋であったものの名残というかよすがである。
よすが、って「縁」という漢字なのですね。コンピュータの変換候補で出てきて、初めて知った。個人的には「よすが」という言葉の方が、今どきよく耳にするあの言葉よりも、好きだな、同じ漢字一文字であっても。
いや、そういうことを言いたいのではなくこの柳橋である。なかなかに年季の入った橋の欄干(であったもの)に、魂を抜かれてしまったようになってしばし見惚れていた私なのであるが、この橋の周辺、なかなかにいわくのある場所のようであります。
伊丹十三の映画「たんぽぽ」のラストシーンが撮影されたり、細野晴臣らの「はっぴいえんど」のアルバム写真が撮られたりした場所なのだそうである。
時折仕事帰りに東京駅経由で帰宅することがあるのだが、丸の内口の地下にとても魅力的なお店がありまして、基本的には旅に使える小物を売っているお店なのですが、なぜかいつもここに数台のハーフサイズのフィルムカメラが並べてあるのですよね。これらのちょっと特殊なカメラたちを旅の気まぐれに東京駅で買う人っているのか?と思いながらいつも横目で眺めて通り過ぎていたのですが、ミイラとりがミイラになったというのでしょうか、いつの間にやら、リコー・オートハーフが私の手元にあるのでした。
「驚異的によく写りますね。・・・・写ってないんじゃないかという不安がないんですよ。それにこう写ると思ったままに写るんです。いわゆるキレイに写っているというのではなくて、まるで自分の気持ちを写しとってくれるようなところがあるんです。」
(飯田鉄+良心堂「ハーフサイズカメラ遊楽」枻出版社 須田一成氏のコメントを引用)
気まぐれに買ったカメラにしては、いや確かにこれ、はまります。天気が悪い1日だったせいか、絞りが開き気味の時は「ん???」みたいなホニャホニャの写りになってしまう時があるのですが、明るいところで絞りが閉まった状態の写りは、確かに固定焦点、シャッタは2速、絞り自動のカメラ任せで撮ったものにしては・・・不思議な味のある写真が撮れます。これ、撮ろうと思っても、撮れないタイプの写真が撮れるカメラという気がします。
あまりに気に入ってしまったので、もう一台メルカリでポチッとしてしまった。。いやでもこのカメラかなり面白いカメラですよ・・・。それにここまでフィルムが高騰してしまいますと、ハーフサイズのカメラって今こそその真価を発揮しそう。