しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Second Life of My GR

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Ricoh GR1v + Kodak Ultramax400

高級コンパクトカメラの決定版、憧れのGR1vである。確か2014年の秋に大枚7万カメラ円をはたいて、秋葉原のにっしんカメラで中古で購入したのでした。弱点のファインダー内の液晶表示は「リコーで修理させたばかり」とのお店のおやじさんの太鼓判付きでした。

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Ricoh GR1v + Kodak Ultramax400 + Ricoh GR Lens 28mmF2.8

それから7年が経過しましたが、その間にライカウイルスに感染してしまったこともあり、GR1vのショット数はそれほど行っていないはず。でも数年前にパリでの撮影に持ち出したのは楽しい思い出でございました。

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Ricoh GR1v + GR Lens 28mmF2.8 + Kodak Ultramax400

お店スキャンで補正してあるから、一概には言えないけど、このなんとなく青みがかったようなクールな色合いと、四隅のちょっとした周辺減光がGRレンズの味、ということでしょうか。露出はプログラムオートで、ピントもマニュアルでは合わせられないので、なんとなく不安になってしまい、スナップにあまり持ち出さなくなってしまっていたのですが、半年くらいかけて撮り溜めたフィルムを現像してみると、ピントも露出も(自分で合わせるよりもよっぽど)正確なのであります。

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中古で購入してから足掛け7年、販売されてからでいうとほぼほぼ20年。久しぶりに防湿庫から取り出して電源を入れてファインダーを覗いてみると、あれ、測距点に現れるはずの表示が出てこない。。

その後、使いながら様子を見ていると、測距点を示す表示が現れたり、消えたりを繰り返してるのですが、わたしのGRもついに寿命がきたということでしょうね。とはいえ、表示が出ないだけで、フォーカス機能はちゃんと動いているようですし、焦点距離を示すお山(無限遠)、二人(3Mくらい?)、一人(1Mくらい?)、お花(マクロ)の表示は出るので、狙ったところにピントを合わせているかは把握できます。

しかし、それほど先が長いこともなさそうなので、せっかくのGR、動かなくなるまでもっとフィルムを通してあげようと、心に決めた春の午後なのでした。

さて、近所の散り残りの桜でも撮ってくるかな。

Chet Baker's Voice

少し前に、声優さんたちがたくさん出演している番組を見たんですが、「癒され」系っていうの?「癒し」系っていうの?聞いている人が気持ちよくなる声の出し方っていうのを開陳されている声優さんがいて、音声分析すると、その人たちの声というのは、末尾に少しだけ吐く息が残る感じ?があり、そこが人の感覚に気持ち良い感じを感じさせるということなのだようです。

「たっちゃん、大丈夫?」ではなくて「ごしゅじんさま(あhhhh・・・)、大丈夫(ウhhh・・・)?」という感じで。

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そこで気がついたのですが、チェット・ベイカーの歌声もそうなんじゃないかと思うのです。語尾が「はフー」「フヒー」ってなってるんですよね。「マイファニーバレンイイhhhi...ンんhhhuuu..・・・」「スhiイーhhhhii・・ファニーhiiバahレンタahイイイーンンnnhhhh...」っていう感じで。(hが息が漏れるような音として脳内音声化してください。)

ただ、なんでもこういうアヘアヘフヒフヒ声にすれば、良いでしょうっていうのはちょっと違うんじゃないか。

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あの大震災から10年が経ちましたが、この災害を乗り越えてきた子供達の非常に重くて、心にひびくヒストリーというものがあるのですが、それをお伝えするテレビ番組のアナウンスがやたらこのアヘアヘフヒフヒふへふへ声になっていたものがあって、うーん、なんだろう。

「〇〇くんはhhha、津波で流されたお父さんのohhことをoh、忘れたことはなかったahh...」

私は違和感を感じました。

事実より正しくて尊いものはないと思うので、それを演出で飾り立てる必要はないのだ。

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あのアヘアヘフヒフヒ声を出しているアナウンサーは、いったい誰に、何を、どのように伝えたいと思っているのか。

事実をありのままに伝えるというのが報道のあるべき姿だと思うのだけど、昨今、報道がエンタメ化しているように思われるのは、年寄りの杞憂かな。まあ、楽しいことも大事だけれど、物事のうちで、エンタメ化できるようなこととそうではないこと、そうしてはならないことの違いぐらいははっきりとしておいた方が、良いのではないか。

 

頼みの綱

フィルム写真遊びの「頼みの綱」である私の愛機Epson GTX830の調子が悪い。昨年秋にiMacを新調して、スキャナドライバーをダウンロードし直したのだが、Epson ScanからEpson Scan2にアップデートされていて、こいつに乗り換えてからどうもうまく動かなくなってしまったのだ。Epson Scanの対応OSがCatalina止まりということに気がつかず、ついBigSurにアップデートしてしまったところ、いよいよやばくなってきた。

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背景のボケている部分が、一部崩れたように画像認識されてしまうのでした。。シクシク

このスキャナーももう5年くらい使っていて、写真屋さんに出して一本500円+税でスキャンしてもらうことを考えると、たぶんもう元はとったかなあという感じなので、上位機種のGTX980に買い替えることも考えたのだけど、GTX830の倍のお値段になるし、そもそもGTX980でさえ2014年のモデルなのよね。。一応EPSONの方に質問して見たけど、ピントもいまいち合わないし、ポジフィルムの色合いもなんだか変なので、製品の寿命かもしれないけど、OSやPCとの相性のせいじゃ無いかという気もしているので、今後のフィルムスキャン対応につきましては、専門家の皆さんの意見も踏まえつつ、慎重に検討してまいりたいと、そんなふうに考えているわけであります。お店の任せフィルムスキャンだと勝手に露出補正されてしまうのが、嫌なんですよね。

いよいよもって、デジタルシフトかなあ。

そうすると、この数年買い集めてしまったフィルムカメラの使い道がなくなってしまうんだけど。

これからお電話していいですかとメールしてみる冬のゆふぐれ

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Leica M4-2 + Summicron 35mm + Fujicolor Superia Premium

「信じて欲しい。私は常軌を逸しているのではない。私は、脱中心的な存在(ex-centric)であるに過ぎないのである。」

昨日初めて「世界カメラ市」なるものに足を踏み入れてみた。意外と綺麗なライカたちが、意外に手頃な価格で並べられていたのであった。。M3, M2, M4あたりでも20万円は超えない程度のお値段で。。見せてもらうと、買っちゃいそうなので、ここはグッと堪えたが。。もうすでに色々持ってるし、新しく買う必要はないのだ。

しかしここまで考えて私は気づいてしまった。世界は全て「記号」でできているのであり、そこには「価値」というものはなく、あるのは「差異」だけなのである。従って、私たちがしているのは「消費」ではなく「交換」なのである。

そう、私は気がついてしまった。人間は「交換」する動物なのだということを!

従いまして、私が持っているカメラたちも、本質的になぜそこにあるかというと、それらは「交換」の結果としてそこにあるのであったのであり、それらは別の何かと「交換」するためにあるのであったのであった・・・これって・・・なんだっけ・・・似たような話があったような気が・・・レヴィ・ストロースか?・・・いや、あれだ・・・!「わらしべ長者」だ!

そうなのだ。我々日本人は、モースが「贈与論」を書くよりも先に、気がついていたのだ、人間は交換する動物だというこの「真理」を!いや、「真理」というものもないのだ。。あるのは「交換」される「物語」だけなのだ。。そしてそれは「価値」があるから「交換」されるのではない、「交換」されるから「価値」があるのだ・・ということは、ライカに価値があるのではない、ライカが交換されるからあんなに高いのである、そして交換されればされるほど、交換したい人が増えれば増えるほど、ますます高くなるのだ!!実際、一時期10万カメラ円も出せばそこそこ調子の良いM3が買えたはずだが、今時まともなものを買おうとすれば、20万カメラ円は出さないとならなくなっているではないか!ということは、みんながライカを交換するのをやめれば・・・きっとまた、安くなる、はず。

その時を待とう。

それはさておき、「エキセントリック」って、日本語では「異常」「変なやつ(もの)」っていう意味だと思いますが、なるほど、「ex-centric」だから、「脱中心的」と解すれば良いのね。中心にあるものや中心にいる人が必ずしも「正常」とは限らないから、そうだとすると、「脱中心的」=「異常」という理解には、本質的な誤謬があるのであった。「エキセントリック」とは「脱中心的」なのであって、「脱中心的」であるからといって、異常であると断定することはできない。「エキセントリック」とは「脱中心的」なのであって、それ以上でもそれ以下でもないのだ。

ということに、ようやく気がついたのであった。

そうそう、カメラは買わなかったけど、ずっと欲しかった28mmのファインダー買っちゃった。プラスチック製だけど、金属製は高いので、手が出ません。昨日はM2に28ミリをつけて散歩したけど、28ミリだとなんでも面白そうに見えるので、やたらシャッターを押せますね。

Miles Davisのおじいさんの教え

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「私のおじいさんは私の父に、『誰かから金を受け取ったら、どこで、だれから受け取ろうと、必ず自分で数えるんだ。そして、その金が全部そこにあるか、確認しろ』と教えたんだ。金のことになると、だれも信用できないんだ、たとえ自分の家族であってもね、というのがおじいさんが父に教えたことだった。ある時、おじいさんは父に『ここに1,000ドルあるから、銀行に行って預けてこい』と言っておつかいに出した。銀行は家から30マイルも離れたところにあった。アーカンサスの夏、外は38度の暑さだ。父は歩き、そして馬に乗って銀行に向かった。銀行に着いて、金を数えたら950ドルしかない。父は金を数え直した。やっぱり950ドルしかない。仕方なく父は家に引き返した。怖さのあまりお漏らししそうになりながらね。家にたどり着き、おじいさんのところにいって50ドル無くしたと白状した。おじいさんは少しも動じず、父を見ろしていった。『家を出る前に金を数えたか?』いいえ、数えませんでした、と父は答えた。『そうだろう。』おじいさんは言ったんだ。『俺はお前に950ドルしか渡さなかったんだよ。お前は一銭も無くしちゃいない。しかし、お前に言わなかったかな?金を数えろ、と。だれの金でも、たとえ私の金でもだ。ここにあと50ドルある。数えろ。そして、言った通りに銀行に行って金を預けてくるんだ。』忘れちゃいけないのは、銀行までは30マイルもあったってだけじゃなく、外はクソみたいに暑かったってことだよ。そんなことを自分の子供にさせるなんて、冷酷な父親だよね。でも、ときには、それくらい冷酷になる必要があるんだ。」

マイルス・デイビスの自伝、20年以上前に買って最初の方だけ読んでそのままになってるんだけど、この部分だけずっと心に残っていて、お金が問題なるごとに思い出す。マイルス・デイビスのおじいさんの教えは、私の心の中にも生きているんです。

すごいね、マイルスのおじいさんって。

Alby, is this a Middle-life Crisis?

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Rolleicode V + Xenar 75mmF3.5 + FujiPro160N

ルサンチマンを抱えた個人は、その状況を改善するために次の二つの反応を示します。①ルサンチマンの原因となる価値基準に隷属、服従する②ルサンチマンの原因となる価値判断を転倒させる」

(引用元:山口 . 武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.832-834). Kindle .)

 

②の「転倒させる」とは、手が届かない高いところにあるぶどうを見つけて、本当はそれが食べたいのに、自分の手が届かないという事実を直視しなくても済むように「あんなところにあるぶどうは酸っぱいに違いない」と自分に納得させることである。

イソップ物語の「酸っぱいぶどう」だ。もし、今後、5歳ぐらいの男の子に、「良き人生を送るための要諦を教えてほしい」と問われることがあったなら、ぜひこの話を熟読吟味し、ルサンチマンの虜になることがないように充分気をつけるべし、と教えてあげよう。

多分そんな機会はないと思うけど。

 

 

Changes

Leica M3を入手したのはいつだっただろう。2017年の夏だったかな。バックドアが軋むのがいまひとつだけど、きれいな写真を撮れるのであった。レンズは、ここのところElmar 50mmF2.8をつけっぱなしである。実際、M3にはこのレンズが一番相性がよいような気がする。

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Leica M3 + Elmar 5cmF2.8 + Kodak Colorplus 200

製造されて60年くらい経つレンズだけど、今でも十分クリアでシャープな写真が撮れるのだ。

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Leica M3 + Elmar 5cmF2.8 + Kodak Colorplus200

全く意図していなかったのだけど、いつもの散歩コースで、全く同じところで、同じアングルで1週間ほど間をあけて紅葉を撮っていた。

 

たった1週間なのに(もしかしたら2週間くらいあいてたかな)、ずいぶん様子が異なるものですね。