しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

「サイモンとガーファンクル」

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サイモンとガーファンクル」って改めて文字で書いてみると、少々古めかしい気がする。「サイモン・アンド・ガーファンクル」の方がイマ風の耳あたりだ。イマ風といっても、彼らの歌がメーンテーマだった頃から数えてみると、かれこれ半世紀が過ぎ去ろうとしているのだ。これって、チャイコフスキーの時代に、ベートーベンを愛聴しているようなものといってもよいのであろうか。

ことほどさように、かつて開高健が吟じたとおり「橋の下をたくさんの水が」流れるのである。

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西暦1954 → 西暦2009

さて、ライカM3からリコーGRDIIIへ、写真機も50年の間にこれほど変わる・・・というわけで、無理矢理今日のお題であるリコーGRデジタル3に話を繋げる。

リコーGRは一時期、GRデジタル3、GRデジタル4、APSーCサイズのセンサーを積んだGRの初代を持っていたけど、後の2者は別のカメラ機材購入の際に下取りしてもらい手放してしまいました。GRD3はその時すでに10,000円くらいにしかならない状況だったので、発売とほとんど同じタイミングで正規のお値段(?)で買ったお品物という愛着もあり、私の手もとで朽ち果ててもらうことにしたのです。

といっても、最近は電源を入れることもなくなり、手狭になった防湿庫からも追い出されてしまっておりました私のGRD3、ふと思い立って家の中のものを撮って見たところ、画像設定がスタンダード(カラー)ではなんだかクセのある色味でしっくりこないのですが、白黒モードならぜんぜん使えると感じ、ひさびさに予備のバッテリーも充電して、持ち出してみました。

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Ricoh GR Digital III

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サイモンとガーファンクル」の「America」という歌のなかに「Kathy, I'm lost, I said, though I knew she was sleeping」っていう一説があります。寝てるのわかってんなら、話しかけんなよっていう話じゃないということに、先週の金曜日ついに、というか、ようやく、気がつきました。寝てるのわかってても、話しかけないとならない時があるというか、寝てて聞いてないからつぶやくことができるときって、あるんじゃないかな、ニンゲンって。

「すみません、またこっそり一台、写真機買いました・・・」

ってことじゃなくて。

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GRDIIIって、オートフォーカスは「ウーン、チャッ」っていう感じの動きで今となっては相当遅いし、フルサイズでも相当コンパクトになってきた近時、もうこれはないでしょうってくらいの小さなセンサーで、常にパンフォーカスなんですが、ライカで街を撮るときも結局F11ぐらいまで絞って、マニュアルでフォーカスしているわけですし、写真屋さんのスキャンの画像ファイルなんて1メガもないので、結局これでいいんじゃないかという、なんでしょう、達観したというか、悟りが開けたというか、諦めがついたというか、そんな心境であります。

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この小ささ、軽さ、そして、設定がややこしすぎないというか、機能が豊富ではないというか、ハッキリいえば貧困なので、逆にいうとあまり色々悩まずにシャッターを押せるというのが良いのかもしれません。これがフジのX100Vとかだと、ファインダーにするかOVFにするかEVFにするか、それとも背面液晶で撮るか、背面液晶はチルトさせるか?画質モードも十種類くらいあるけど、どれにします?白黒?アクロスにする?カラーフォルター効果かけてみる?ってか画角もクロップして50ミリでも撮れるわよ、どうする?どうする?ってカメラが色々話しかけてくるので、おちおち写真も撮ってられないという矛盾した状況に追い込まれてしまうわけです。

まさに「ハムレット」の「since brevity is the soul of wit. And tediousness is limb」(簡潔こそ知恵の魂。さすれば、冗長は手か足のようなものでございます)ということですか。

ところで、こんど「GRIIIx」っていうのが発売されるのね。換算焦点距離40mmのレンズ積んだやつ。「GRは28ミリだろっ」とか、「なんだかフジのクラッセみたいになってきたな」っていう気もしますが・・・興味あります。

きっと機能てんこ盛りなために使いにくいというこの「逆説」に正面から向き合うことになるんだろうとは思うけど、買っちゃいそう。。

そのときには、寝てるときに話しかけて「黙認」をもらうことにしようと思います。