しまりす写真館の現像室から

カラーネガフィルムでユルめに写真を撮っています

Leica M5 & M4-2: こころなりけり

新山口(小郡)駅
Leica M5 + Elmarit 28mmF2.8(2nd) + Tri-X

イカM5とM4-2に入っていたフィルムを撮り切ったので、現像してもらった。M5のフィルムは2021年の秋に装填したもの。M4-2の方は、去年の10月に装填したものだ。時間が経過しているので、撮ったことを完全に忘れ去っていた場面と再会できて、なんだか嬉しい。この「なんだか得した感じ」、と言うのがフィルムで写真を撮る楽しみのひとつ、それも重要な部分のような気がしている。

由宇駅

ここ数日「こころ」が気になっている。私たちの心は常に色々なことを感じて考えている。それはもう止められない。地球の自転を止めることはできないし、心臓の鼓動を止めることもできないが、僕の心が勝手に考えるのを止めることも、僕にはできない。そう考えると、人間ってなんでもできるようでいて、実は意外と簡単なことができない動物なのだと気がつく。

西新宿

 

以前読んだ本に、絶対に為すことできない命題として「シロクマのことを考えてはいけない」というのがあると書かれていた。「私たちの意思とは関係なしに、こころは勝手に跳ね回る」と言ったのは誰だったかな・・・村上春樹だったか、河合隼雄だったか・・・と思っているうちに「心なりけり」というフレーズがふと蘇ってきた。しかし、なにが「心なりけり」だったのかが思い出せない。

豪徳寺
Leica M4-2 + Summicron 35mmF2.0 + Tri-X

「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり」

Google先生に尋ねたら、すぐに教えてくれた。高杉晋作の辞世の句だ。高杉晋作結核で死んだ。死んだのは下関だ。ちなみに同じ幕末に活躍した土方歳三が死んだのは函館だ。五稜郭の戦で官軍の銃弾が腹部に命中して絶命したと、これもGoogle先生が教えてくれた。高杉晋作は「世に棲む日々」、土方歳三は「燃えよ剣」で、いずれも司馬遼太郎が面白い小説に仕立ててくれている。

山口市

山口市

 

新橋

新橋

「真実は饒舌の中になく沈黙のなかにある。」

「彼は、彼の語るところによって知ることはできない。彼は、彼がけして語らないことによってこそ、語られているのだ。」といったのは、シェイクスピアだったか、ニーチェだったか、それともトルストイだったか。あるいはChatGPTがいってたのかな。2023年になり、僕たちは「考える」ということからついに、というか、いよいよ、というか、いずれにせよ、解放されようとしているのか。

豪徳寺

無題

山口市

山口市

こうしてみると、28ミリという画角ははやはり個性があって面白いな。M5と28ミリのコンビで、またどこか田舎の街に写真を撮りに行きたい。28ミリのレンズをつけたM5とTri-Xを5本くらい持って、ふらりと、どこかに、行きたい。